早瀬律子先生
 profile

 早稲田大学大学院アジア太平洋研究科にて国際関係学を専攻。

 大学院修了後より塾講師、個別家庭教師として様々なキャリアを重ねる。
特に国語の読解においては、独自の読解テクニック「早瀬メソッド」を編み出し、40弱の偏差値を60以上に引き上げるという指導手法を持つカリスマ教師。
毎年多数の合格実績を出している。
 
 著書『「答え探しの技」で勝つ!』(文芸社)も”国語の成績が伸び悩んでいる受験生親子”や”もっと国語力をつけて味方の教科にしたいと願う受験生親子”に好評である。

 また、自らも母親として我が子の中学受験を乗り越え、志望校に合格させた経験を持つことから、受験の渦中にいるお母さんからの「受験相談」依頼も多く、カウンセラーとして高い人気を得ている。

 

http://e-ritsuko.com/index.html
 
 


■ VOL7 ■ *国語を制覇するための王道はありません。〜学力を積み重ねていく方法とポイント〜       2010.3.1 update

「ローマは1日にしてならず」という言葉があります。
これは、中世ラテン語によることわざに由来したもので、
皆さまご存じのように「何事も多大の努力をしなければ成し遂げられない」

という意味です。

このことわざは、国語の学習についても当てはまります。
もちろん、他教科についても、努力なしに学力をつけることは不可能に違いありません。
しかし、それでもテスト前にがむしゃらになって暗記をすれば
その時々のテストだけは何とかなってしまう教科っていうのはありますよね。

しかし、国語に関しては、そういう短時間の学習でどうにかなる、ということはまずありません。

それは、一つとして、国語という教科は、知識をただ単純に詰め込んで力を伸ばせる教科ではないからです。
第二に、すぐれた思考力を持ってさえいれば力を発揮できる教科でもないからです。
つまり、広い範囲の知識を習得することと、その知識をベースに思考することができること、
この二つのバランスが大切なのです。

知識と思考力、このどちらが欠けていても国語は制覇できません。

では、「何をどのように」積み重ねていったらいいのでしょうか。

国語で覚えておきたい代表的なものとしては、
漢字や二字・四字熟語、ことわざ、慣用句、などがあります。

たくさん覚えておけば入試における知識問題だけではなく、国語の読解に取り組む時にも役に立ちます。

しかし、ここでお母さまにぜひお願いしたいことは、
これらの知識を学習する時に「単なる暗記」で終わらせないで欲しい、ということです。

単なる暗記で知識を詰め込んでいては、それらの知識が、実はさほど試験で有利に働かないのです。
試験で習得した知識を有利に働かせるためには、思考しながらそれらを活用することが大切です。

例えば、以心伝心という四字熟語を学習するとしましょう。
この時に、単にこの言葉を
「以心伝心」→言葉によらず、お互いの心から心に伝わること 
というようにただの暗記で終わらせない、ということです。
その言葉とその意味を覚えたあとで、その言葉を使って会話を楽しんで頂きたいのです。

ただの暗記は、すぐに忘れますが、日常会話で使っていると、
その言葉が完全に自分のものとして身につきます。

「きちんとしたセンテンスをつくって話そう」などと身構える必要はありません。

「今日のお夕飯はカレーにしようかな」

「わ〜い、ぼく食べたかったんだ!」

「そうでしょう、以心伝心よ。なんだかそうじゃないかな〜、と思ったの」

という具合に、何気なく使えばいいのです。

お子さまが新しい知識を学習したら、それをぜひお母さまが意識をして会話に取り入れて下さい。
自分の耳で聞き、そして自分の口で言った言葉というのは、忘れませんし
意味を理解し、自分のものとして活かせることができれば、それは本物の国語の力として蓄積できます。


また、その日学習した知識をなるべく「書き言葉の世界」でも活用できるレベルにまでもっていくことが理想的です。

それらの言葉を会話で活用して楽しむことも、お子さまの国語力アップには非常に有効なのですが、
「書く」という行為を通してその知識を活用できるようになるとさらに確実な力になります。

できれば、お母さまとお子さまとで、短い手紙のやり取りなどを通して覚えた言葉を楽しんで頂きたいと思います。
手紙といってもほんのメモ書き程度のものがいいでしょう。
しかし、手紙を書く場合は、「話し言葉」を避けてできるだけ「書き言葉」を使うということを意識して下さい。
最初のころは、お子さまもお手紙の交換など、あまり気乗りしないかもしれません。
もしかしたら、大半のお子さまはそうかもしれませんね。
でも、そういう時は、お子さまからの返事を期待せず、一方的にお母さまが書いて渡すだけでもいいのです。

「以心伝心でカレーが食べたいということがわかりました。

 ですから、今日のお夕飯はカレーにします」

という具合でけっこうです。

お子さまが笑ったらしめたものです。
意外と喜ぶものですよ。
「書いてあるものを読む」というのは、机に向かって問題を解く時だけしかできないものではありません。

こうしたメモの一枚の積み重ねがお子さまの国語の大きな力を育んでいきます。

知識を知識として終わらせず、それを活きた日本語として思う存分親子で楽しんで下さい!



■ VOL6 ■ たくさんの言葉でお子さまの世界を広げてあげましょう!  2010.2.10 update

 言葉が増えていくと、それだけお子さまの思考の幅は広がっていきます。
新しい言葉と接し、それを覚えると、新しい概念がどんどんと生まれるのです。

人間というものは常に言葉を有効なツールとして使っています。
相手の言葉、あるいはいろいろな情報の中から言葉を「受信」し、
そしてそれを頭の中で咀嚼して「思考」し、自分の考えを「発信」しています。

その「受信」「思考」「発信」というプロセスも
言葉の知識があればあるほど効率良く行えるはずですよね。

「受験」というのは、その力が紙の上で試されることになります。
問題文を読んで「情報を受信」し、そして「設問に対する答えを思考」し、
そして「自分の考えた答えを発信」するわけです。

語彙力があればあるほどラクに学習を進めることができます。

言葉をたくさん知っていればその知識を使って文章の情報も簡単にキャッチすることができます。
内容をしっかりと理解できるわけですから、設問にもスムーズに対応できます。
逆に言葉の知識が乏しい場合、文章中の重要語句さえも把握することが難しくなり
「文章を正確に読みましょう」といってもなかなか思うように学習がはかどりません。

「国語の得意なお子さまはたいていの場合、
高学年になるにつれてすべての教科が得意科目になっていく」
また、
「国語の苦手なお子さまは高学年になるにつれて全体的に成績が下がる」
と一般的によく言われているのはそのためです。

すべての教科は日本語で書かれているのですから、
これは考えてみれば自然の成り行きかもしれません。

ですから、早いうちから多くの言葉に触れてそれを知識として取り入れていれば
それが後々の大きな財産となります。

では、どうすればより多くの言葉をインプットできるのでしょうか。

そこで今回は、受験生のお母さま方に私自身の経験則からいくつかの提案をさせて頂こうと思います。



@まず、お父さまやお母さまが、日常生活で「おしゃべりな人」になって下さい。

親子の会話が実は一番お子さまの言葉を増やせる時間なのです。
この時は、できるだけ手加減せずに大人と話す時と同じように話しかけてあげて下さい。
「まだ、子どもだからこんな難しい言葉を使っても理解できないのではないかしら?」
などと気を遣う必要はありません。

お子さまは知らない言葉を耳にすると、「それな〜に?」と言って

目をキラキラとさせながら聞いてきますよ。
その時は、面倒だと思わずにその言葉の意味をお子さまにわかりやすく説明してあげて下さい。


Aお子さまには、「自分のことはできるだけ自分でやる」という生活習慣を身につけてもらう。

あまりお子さまの身の回りの世話をやきすぎてしまうと、
「言葉でいろいろなことを伝えなくても大丈夫」という環境をつくってしまいます。
 

 つまり、親御さまに対して説明や自己主張をあまりしなくても
日常生活のすべてがことたりてしまうのです。

すると、お子さまの「言葉を発信するチャンス」をことごとく奪ってしまう結果となります。 

逆に「できるだけ自分のことは自分でやる」という生活を送っていると、
「自分で常に思考」する必要性がでてきます。


そして困った時は、それを言葉にしてお父さまやお母さまに伝えるようになります。

すると、自分の体験を通して言葉はより現実的なものとなってお子さまに浸透します。

お子さまというものは、大人が考えている以上に適応力があり、環境から学ぶ力が優れています。
ぜひ、お子さまの自発性や好奇心に刺激を与えて言葉を必要とする環境設定をしてさしあげて下さい。


Bお父さま、お母さまが「教える」という姿勢をやめてみる。

言葉については、対等に会話を楽しむようにして下さい。
これは、意外と効果があります。
お子さまというのは、自分からたくさんのことを吸収していきたいものなのです。
それを逆に「たくさんの言葉を覚えなさい」という「教える態度」で接しているとお子さまもゲンナリしてしまうでしょう。

難しく考えることはありません。
日常での楽しかったこと、面白かったこと、悲しかったことなど、

その日、その日の出来事や自分の気持ちをお互いに言葉豊かに伝え合えればいいのです。

言葉を豊富に使って会話をすることで、お子さまの意思伝達力が養われるだけではなく、親子の関係もより一層深まると思いますよ!

ぜひ実行してみて下さい。



  
■ VOL5 ■ 「入試直前のマインドコントロール」  2009.12.28 update

成功戦略 〜絶対実行してほしい3箇条〜

いよいよ6年生のお子さまは、受験本番が刻一刻と近づいてまいりました。
1月から受験される予定のお子さまやお母さまはもとより、2月で本番を迎える方も今は本当に
気の休まる時がないのではないでしょうか。

しかし、実はこの直前の時期が正念場でもあります。
「正念」というのは、「正」は文字通り「正しい」という意味です。
そして、「念」というのは「思い、考え、気持ち」のことですよね。
つまり、雑念を払い、前向きに深く真理を信じて突き進むことです。
ここぞ、という大事な局面では本当にこの気持ちが一番大事なのです。

ところが、「あともう少ししか時間がないのにどうしよう」という焦りに潰れてしまいそうになったり、
「もう、なるようになれ!」といった諦めに走ってしまうのもこの時期です。
そして、お母さまが不安に駆られてストレスが極限まで溜まってしまうのもこの時期なのではない
でしょうか。

そこで、お母さまにこの時期、ぜひ私が提案する3箇条を実行して頂きたいと思います。

1.絶対にグチらないようにする!

グチを言ってしまうとマイナスのイメージがそのまま自分やお子さまの心の中に浸透していきます。
すると、身体から元気なエネルギーが失われて笑顔にもなれなくなります。
表情の暗いお母さまを見てしまうことでお子さまの心も暗くなり学習へのエネルギーも奪われてしまいます。

もし、グチを言いたくなってしまうような時は、何度も深呼吸して空を見上げて下さい。
自分が今、口に出してしまいそうなグチの内容は、見上げる空のスケールを考えればホコリにも満た
ないような微粒子じゃありませんか。
息をふーっと吹きかけて飛ばしてしまいましょう。

2.お子さまのいいところだけに注目し、そこの部分をたくさん褒めてあげる!

この時期は、親も不安でたまらなくなります。
不安になればなるほど、「合格するためにはこうでなければならない!」という思い込みが激しくなり、
ついつい今まで以上の高いレベルの状態をお子さまに求めがちです。
例えば、ちょっと計算ミスをしただけでいたたまれなくなったり、
漢字を忘れてしまったことで怒りたくなったりします。

これはおそらく多くのお母さまが経験されていることでしょう。
私もそうでした。

しかし、この大事な時期はそういう一つ一つのことを「ドンマイ、ドンマイ!」と考えて「よ〜し、もう一回
やってみよう!」「また覚えればいいよね!」とお子さまを励ますだけにしましょう。

お子さまを責めてもな〜んにもいいことはありません。
受験に臨む本人だって不安なのです。
ここでマイナスの言葉をかけてしまえば、不安を煽り、逆効果になるだけです。
ですから、これからは努めてお子さまのいいところを発見して下さい。
以前よりも向上していることはきっとあるはずです。どんなに些細なことでもかまいません。
いつもよりも字が丁寧に書けたとか、国語の読解問題の際に、きちんと設問文に線を引いて読んでい
たとか、何でもいいと思います。
そうした小さな成功体験を褒めてあげることでお子さまは、自信を持つことができます。お母さまからの
言葉で心に栄養をもらい、「自分は向上しているのだ」というイメージと共に本番を迎えることができます。

3.無理は禁物!体調管理を万全に!

この時期は根を詰めるような学習スケジュールは控えた方がいいと思います。
少なくとも1月に入ったら、精神的、肉体的な疲労に耐えつつ学習するよりも、何はともあれ心身の状態
を良好に維持することを優先して下さい。
ただでさえ緊張感が高まっているのですから、お子さまも、お母さまご自身もまずは心と身体をいたわりま
しょう。

学習することももちろん大事ではありますが、穏やかや精神状態を保ち、また、健康な身体を保つことで、
受験本番で発揮できるエネルギーをチャージしていくことはもっと大切です。
特別なことは必要ありません。

栄養のある食事をして、睡眠時間をしっかりとること、
外から帰ったら必ずきちんと手を洗ってうがいをすること、
なるべく加湿をし、空気の乾燥でノドを痛めないようにすること
等々、本当に基本的な生活習慣を守るだけでいいのです。

最近は、試験当日体調がすぐれず、「保健室受験」をすることになってしまうお子さまも増えているようです。
常日頃から健全な生活習慣を守っているだけで、「直前でダウンしてしまった」などという痛い思いをしなく
てすみます。

以上、私が述べた3箇条の内容はごく当たり前のことのように思われるでしょうが、この時期はなかなか
平常心を保つことさえも難しくなります。
もし、心身のバランスが崩れそうになった時はこの3箇条をぜひ思い出して実行してみて下さい。

毎日の小さな積み重ねが結果的に大きな成果につながります。
入試では、お子さまが元気な心と身体で思い切りチャレンジできるように、親子でしっかりとこの大事な時期
を乗り切って下さい!



■ VOL4 ■ 「心が疲れたときのマインドノート」  2009.11.29 update

中学受験生を抱えていらっしゃるお母さまから最近、お母さまご自身の健康維持のための身体的、精神的
なケアの方法についてのご相談が増えてまいりました。
そこで、今回のコラムでは、お母さまのメンタル・ケアのための一つの方法をご紹介したいと思います。

中学受験に向かっていく時期は、お母さまの心が疲れてしまう日もあると思います。
学校や塾のスケジュールに合わせてお子さまのサポートをするようになると、お母さまは今まで以上に忙しく
なってまいります。
また、時間的余裕がなくなり、お身体への負担が増すだけではなく、それと同時に不安や
ストレスにさいなまれることもあるかもしれません。
お母さまというのは、我が子のサポートだけがたいへんな
わけではありませんよね。

日常生活の流れの中でもさまざまな壁にぶつかり、気分が落ち込んだり挫けそうになることもあるかと思います。

でも、「思い通りにならない時」って実は大きなチャンスなのですよね。
そんな時は、ただ流されるよりも、そのチャンスを活かしてさらに大きな自分に成長したいものです。

前回のコラムの中で、「逆境は誇り高きものである」と書かせて頂きましたが、今回は、その逆境を乗り越える
ための具体的な方法の一つを提案させて頂こうと思いました。

何かの壁にぶつかった時、その糸口をつかむ方途として、“ノートに自分の思いや考えを書き、客観的に自分を
みつめて、「落ち込んでしまった状況」からの出口を探る”ということです。

頭の中でもやもやとしてマイナスの思いをずっと巡らせているよりも、それを文字にしていくと、自分自身を俯瞰
できるようになります。

まず、ゆっくりと心を落ち着かせて「何が思い通りになっていないのか」を焦らずノートの前でペンを持ちじっくりと
考えてみて下さい。
もやもやとした心の状態から、「何が」というその正体を明確にして、それをノートに書いてみましょう。

次に、「どうして思い通りになっていないのか」という、その原因を探り出してそれを書いて下さい。
そして「何を軌道修正していくと望ましい方向にベクトルが進んでいくのか」という対策を自分の中で組み立てて
いき、それをノートに書いていきます。

しかし、その時点に明確な対策が思い浮かばないことも多いでしょう。
(そもそもその対策がきちんとわかっていれば、ストレスはあまり感じないはずなのですから。)

その時は、「仮説」を書いてみて下さい。
つまり、「仮にこのようにしてみたら上手くいくかもしれない」
あるいは、「仮にこれを実行したら改善されるかもしれない」
ということを頭の中でシュミレーションしながら、どんどんと書き込んでいくのです。
この時、できるだけ想像の中で理想とする状態を具体的に描き出して下さい。

「仮説」を書いたらそれを「検証」し、「実行」してみましょう。
書き込んだ仮説の中で、一番実行可能な、そして「効果があるかもしれない」と思うものに○を付けておき、
まずはその通りに行動してみることです。

ストレス解消や、メンタル・ケアの仕方は、もっとたくさんの方法があると思いますが、「自分の考えや思いを
文字化する」というのも非常に効果的です。

「自分を客観的に冷静に見つめる」
       ↓
「思い通りにならないことの正体をつかむ」
       ↓
「原因をつかむ」

       ↓
「その対策を考えて仮説を立てる」
       ↓
「仮説を検証し、実行する」

そのプロセスが、すごく自分を飛躍させてくれるはずです。
ぜひ、「マインド・ノート」を試してみて下さい。
前に進めるきっかけになってくれれば嬉しく思います。



■ VOL3 ■ 「逆境は誇り高きものなり」  
2009.10.30 update

 この「逆境は誇り高きものなり」という言葉は、以前、新聞を読んでいた時に偶然目飛び込ん
できた言葉なのですが、感銘を受けてすぐにメモをとり、それ以来、自分の人生訓のようなものと
なりました。いつも何かの壁にぶつかった時、この言葉を思い浮かべるようにしています。


すべてが思い通りにいく人生を送られている人も、この世の中に、もしかしたらいらっしゃるのかも
しれませんが、やはり大抵の人は、いろいろなことにつまずいたり、失敗したり、思い通りにいかず
歯がゆい思いをした経験をたくさん持っているのではないでしょうか。

でもこういった諸々のことは、実は苦労ではなく「中身の濃い人生を送っていることなのだ」と最近
つくづく思うのです。

かつて徳川家康は、武田信玄にコテンパンにやっつけられて心身がボロボロになった時、
「勝つことばかり知りて負けることを知らざれば害その身に至る」
と言ったそうですが、惨敗し、屈辱を味わいながらもそう言い切れる精神力には驚かされます。

中学受験の時期においても、逆境はつきものです。
我が子がサクサクと学習をこなし、成績もウナギ上りなどというように、そうそう自分の思うように
すべてが進むわけではありません。
ストレスを感じてしまう日もあると思います。

また、お母様というのは、我が子の学習だけがたいへんなわけではありません。
毎日は忙しく、そして日常生活の流れの中でもさまざまな壁にぶつかることもあるかと思います。

でも、「思い通りにならない時」って実は大きなチャンスなのですよね。
そのチャンスを活かしてさらに大きな自分に成長したいものです。

まずその時は、ゆっくりと心を落ち着かせて深呼吸をして下さい。

そして「何が思い通りになっていないのか」を焦らず立ち止まってじっくりと考えてみてください。
もやもやとした心の状態から、「何が」というその正体を明確にしましょう。

次に「どうして思い通りになっていないのか」という、その原因を心の中で探り当てて下さい。

そして「何をどう軌道修正していくと望ましい方向にベクトルが進んでいくのか」という対策を自分の
中で組み立てていくといいと思います。

冷静に「今、起こっていること」と「自分」を対峙してみて下さい。
そのプロセスが、すごく自分を飛躍させてくれるはずです。

かくいう私も、日々奮闘しておりますが、できるだけ自分を見つめて少しでも成長できるように努力
していきたいと思います。

「逆境は誇り高きものなり」です。

負けそうな時、くじけそうな時、それを大きなチャンスと受け止めて毅然と背筋を伸ばして前に進んで
いきましょう。




■ VOL.2 ■  「確かな一歩の積み重ねでしか遠くへは行けない」

   ちょっと前の話題でたいへん恐縮なのですが、イチロー選手が「9年連続200本安打達成」
  という新しい勲章をまた手に入れました。

   もともと野球には興味がなかったのですが、日本中を感動で沸かせたあのWBCでのイチロー
  の活躍以来、私はマスメディアを通じての彼の言動に注目するようになりました。

   受験に限らず、どの分野でも「成功する人」には、何かその人に才能だけではない、精神的な
  強さや、体調維持を含めた自己管理能力があるに違いありません。

   その「成功の秘訣」を探りたいと思ったからです。

   今回のコラムのタイトルも、イチローが常日頃口に出して言い、また実行し続けている言葉です。
  この言葉に「成功の秘訣」があるのだな〜と感慨に浸り、皆さまにもお伝えしたいと思いました。

   「千里の道も一歩から」とはよくいいますが、スーパースターのイチローでさえも、毎日
  「確かな一歩」を踏みしめることで一つ一つ目の前の目標を成就していったのです。

   チームメイトがいつもイチローに感心しているのは、「精神面や体調面など、自分のことを冷静に
  分析し、毎日前進し続けている」ということです。(朝日新聞 
915日 朝刊「イチローを語ろう」より)

  
   一日、一日ごとでは、なんとなく自覚しきれませんが、ほんの少しの前進でも繰り返し毎日行うことで
  月日と共にどんどんと蓄積され、ふと気づくと「すごいな〜、一体どうやって達成したのだろう」
  と思うようなことが実現可能になるのだと思います。

   重要ポイントは「毎日」です。

   これは、受験生も同じですよね。

  「毎日少しずつでも漢字を覚える」ことや、「毎日計算問題を欠かさずに解く」などは、その繰り返しが
  お子さまの実力を築き上げるわかりやすい例でしょう。

   例えば、確実に漢字を110こ覚えていけば、1年では、3650個の漢字を習得できます。
  これだけの数の漢字をしっかりと覚えていれば、中学入試の漢字の問題はほぼ完璧に対応できます。

   また、計算問題を1日5題解くだけでも、1年では、1825問も計算練習をしたことになります。

   当たり前のようですが、これこそが学力の「底力」をつくるのです。

  「こんなちょっとずつの学習で、本当に大丈夫かしら?」と思えるような学習でも、長い年月の積み重ね
  では本当に大きな成果が得られるのです。

  「すごく頑張る日」があったり、逆に「ぜんぜんやらない日」があったりという繰り返しでは、なかなか底力
  はつきません。

  「確かな一歩の積み重ねでしか遠くへは行けない」のです。

  「今日やらなくても・・・」という先延ばしにしたい誘惑に打ち勝って一日、一日、着実に進んでいって下さい!




 ■ VOL.1 ■  「中学受験を親子の素晴らしい経験にしましょう!」 

   中学受験生というのは、(当たり前のことですが)まだ小学生です。
  ですから、塾を決めたり、参考書や問題集を選んだりするのは親御さまの役割になります。
  中学受験は、やはり親子で手を取り合って目標まで歩いていくものだと思います。

   しかしながら、目標までの道のりは誰にとっても平坦ではありません。
  常に順風満帆、追い風だけで目標まで勢いよく走れる親子はきっとそうはいないでしょう。

   私の経験を申し上げると、ちょうど重い荷を背負ってまだ暗い午前3時頃に我が子と山を
  一歩一歩登って行くのと似ていましたね。

   途中石ころがころがっていたり、大きな川に阻まれたり、ゴツゴツした岩があったり、谷底も
  ありました。(笑)
  ただ、ただ、我が子の歩幅分の一歩手前を手元の明かりで照らして諦めず少しずつ歩いて
  きました。
  でもそうやってひたすらに歩いていると、徐々に日が昇り、うっすらと明かりが射してきます。
  振り返ると今まで過ぎてきた長い道が見え、川が見え、谷も遠くに見える。
  この時に、ああ、ここまで登ってきてよかった、と思えるのです。

   山を登りきったとき、太陽が光り、視野が一気に広がり、向こうにあった山の稜線が見えます。

   そして気付くのです。
  我が子と手を取り合って山を登りきった時、一番人間として成長していたのは自分自身で
  あったと。


   中学受験はお子様の学力や精神力を鍛えますが、何よりも母親が心身共に鍛えられます。

   険しい道のりを歩いてきた分だけ、身体も精神も鍛えられ、体力も気力も今までの自分とは
  比較にならないくらい強靭になります。
  中学受験は「親子の二度とない素晴らしい経験である」というのは私の持論です。
  大切なのは、焦らずお子さまの歩幅に合わせて着実に進むことです。
  (無理矢理お子さまの手を引っぱって走り出したら転んでしまいますよね)

   そして、親子で、目標に向かう尊い道のりを一歩ずつ手に手を取り合って諦めずに進んでくだ
  さい。

   受験生のお母さま、今この一瞬、一瞬を大切に。
  親子で山頂に辿り着くことを心から応援し、祈っております!