第1回 5年目の「TT9」

われわれが「tt−9プロジェクト」を立ちあげてから早いもので、5年の月日が流れました。振り返ってみるに思っていたことと現実との違いを感じつつも、理想に向かってゆっくりではあるけれど歩みをつづけていることに、やはり感慨なしとはいえません。

実際に自分たちの手で製品をつくり出し、それを世に問うということの大変さ、また悦びのようなものも感じているしだいです。
それで5年目からの「TT9」として、C6218新製品のところでも述べましたが、価格体系の見直しをさせていただきました。新規参入ということもあり、先に発売した製品はできるだけ価格を抑えることに腐心いたしました。小生ももともとはユーザーの立場ですから、できるだけ安価な製品は意とするところで、自分たちも趣味だからという思いで価格設定した部分があります。

結局それが「TT9」の製品化ペースの遅いことや、事業自体が立ち行かないことにつながってはいけない、逆にいうと、われわれの趣味で製品を出しているのではないということを認識せねばならないのではないか、という結論に至ったのです。単純に、他社製品とパーツの数、グレードを比較すれば、いかにヴァーゲン価格であるかと納得いただけましょう。すべてが新規製作であるくせに、単純にいってしまえば「原型代」などを含まないコスト計算でしたから。

それでもエッチング抜きではなくロストのパーツにしたい、どうせ付けたいディテールなのだからパーツを追加しよう、などと自分たちが得心できる製品を手を抜かずにつくってしまったのですから、破綻することは目に見えています。
製品化のペースが上がらない、それ以前に事業自体が立ち行かなくなってはいけない。そう考えての価格体系見直しです。これでも、決して不当に高いとは思えません。
所有して、心から満足いただける逸品を。そういう気持ちをお汲み取りいただければ幸いです。今後とも「TT9」発展のために邁進いたします。どうぞご期待ください。

いのうえ コラム