第15回 「路面汽車」が「マイブーム」
 
いろいろ「マイブーム」というものがある。いきなり結論めいたことをいうのもおかしいが、自分で焚き付けて「マイブーム」をつくっていくことこそ、趣味の極意のひとつ、というものである。で、最近のイノウエの「マイブーム」のテーマのひとつが「路面汽車」だ。
 書きはじめると長い話になってしまうのだが、そもそもイノウエは軽便、トロッコものが大好きである。残念ながらぎりぎり、最後の軽便情景に触れただけ、というような年代のわれわれ、実際に見聞できた軽便情景と夢に描く理想の軽便シーンというものとの間にはいささかの隔たりがあった。いや、誤解ないように書き添えておくが、出遇うことのできた軽便鉄道は、鉄道の原点というような魅力的な情景をいくつも提供してくれた。同じ鉄道であっても、国鉄などとは異なる小宇宙といった感覚、車輛の持つ温かみ、そこに働くひととのつながりの濃さ、次第に軽便鉄道の持つ魅力が解ってくるとともにその魅力に惹き込まれていったのである。

 ……とここまで書いて、置きっぱなしになったコラム。日付けをみると実に昨年6月13日となっている。なんともはや、モーシワケナイ次第で。で、実はこの「路面汽車」@「マイブーム」、もうご覧になっていただいた方もあるかも知れぬが、2014年3月号から月刊「鉄道模型趣味」誌で連載がはじめられている。もはや遥かむかしの情景にはじまり、現在でも見ることのできる「路面汽車」情景までを採上げている予定だ。ま、それはさておき、「軽便、トロッコ好き」→その極地というシーンが「路面汽車」というのがイノウエのなかにはあって、夢見るその情景をつねに追い求めていたりするのだ。いまでも、英国の片隅では、あるいはドイツの片隅で、そのシーンは展開されている。それに、松山市内線の線路上を走る「坊ちゃん列車」だって、雰囲気は実に悪くないのだ。ここにあまり詳細に書くのが目的ではない。ぜひTMSをご愛読いただければ。
いのうえ コラム