いのうえ コラム

第20回 TT9とOO9、ともに「いい大きさ」

 いや、このところ「軽便」熱がお盛んで「TT9」はほったらかしじゃないの? いや、たまたまTMS誌などのおかげでそんな印象を持たれているだけで、決して「TT9」を疎かにしているわけじゃない。ただ、情けないことにいくつかのプロジェクトがなかなか快進撃とはいかない状況に、ネタ不足であるのも事実。イノウエがそんなことでは、諸賢はもっとそう思っておられるにちがいない。まったくもってモーシワケない次第だ。
 それこそ毎日のように複線エンドレスだけではあるけれど、ちゃんと「運転台(敢えてレイアウトとはいうまい)」上を結構長い客車を牽いたC62+C61重連(これ、実際に常磐線でなんどかお目にかかった)をキハ81+キハ82系混成の「はつかり」とすれ違うように走らせている。工作台の上はというとほぼ完成の域に達した蒸機が、最後のフィニッシュを待っているという状態だし、客車も増えつづけている。
 しかし一方で先述、TMS誌の連載のために「軽便」ものもそこそこリペアしたり、写真が撮れるように仕上げたり。こちらは締切りがあるものだから、どうしても優先されてしまうのは致し方ない。それにしても9mm軌間の線路の上で並ぶ「軽便」機関車と較べると、なんと国鉄機、C62や9600が均整とれて美しいプロポーションであることか。いや、「軽便」はむしろアンバランスな魅力、愛嬌あるスタイリングがほのぼの嬉しくなるのだから、もともと目指すものがちがう。そういいつつも、たとえばオーストラリアのボールドウィン機「パフィング・ビリー」など、単純に並べると9600よりも大きかったりする。このボイラーや足周りを使って「TT9」のなにかつくれないか、などとよからぬ魂胆が浮かび上がってきたり。ともに「いい大きさ」だからなあ。ここから生まれたアイディア、誌上で具現化すべく準備中。乞うご期待、である。